ガウディが残した夢

バルセロナの観光名所「サグラダ・ファミリア(聖家族教会)」を設計したことで有名な建築家、ガウディ。彼が残した、一度見たら忘れることができない奇抜な建築物が、人々を魅了し続けています。

スペインのカタルーニャ出身の建築家、ガウディが当時31歳でサグラダ・ファミリアの設計主任に抜擢されたのは、着工から1年ほど経った頃。当初の計画を大幅に変更し、最終的には18の塔からなる壮大な群塔の構想を描き出しました。市民の切なる願いから始まったサグラダ・ファミリアの建設、完成すれば世界一高い教会となる予定です。

ガウディは自分が生きている間に全ての塔が完成するとは思っておらず、後進のために塔の模型や、スケッチを残していましたが、それらの大半がスペイン戦争で焼失、散逸してしまいました。戦中戦後の混乱で中断していた工事が再開したのは、20世紀も半ばになってから。ガウディの遺志を継ごうと集結した建築家や彫刻家、ガラス工芸家など各方面の専門家たちは、わずかに残った資料と、ガウディが造った他の建築物の特徴から、彼の意図を推し量り、改めて完成を目指すことにしたのです。

その再出発から60年余りを経て、今度は新型コロナの影響でまたもや1年以上の中断を余儀なくされます。寄付も観光収入も途絶える中、残った資金を使って何とか完成したのが「マリアの塔」でした。2021年12月、新型コロナに苦しめられていた人々が見つめる中で、その頂上に据えられた「ベツレヘムの星」に、希望の光が灯されました。これが9つ目、45年振りの新しい塔の完成でした。そして現在、11棟までが完成し、2026年には18棟すべてが竣工する予定となっています。144年の歳月をかけての、まさに世紀のプロジェクトです。

ガウディは、独自の実験を行って、石を積み上げる建造物の最適値を割り出したといいます。現代のように3Dプリンターで簡単に模型が造れる時代ではありませんから、どれほどの時間と手間をかけたのか、想像に難くありません。現在では一部に鉄筋コンクリートも使用しているそうですが、140年前の初期計画ではすべて石積で設計されたそうです。

貴重な建築物、ガウディの夢の完成を一目見てみたいものですね。