七夕祭り

7月から8月は、本当なら天の川がひときわ明るく、美しく見える季節であります。

昨今は「光害」とでも申しましょうか、人口の明かりが多過ぎて、天の川の光はかき消されてしまって見え難いのですが、都市から離れた標高の高い場所に行けば、見えるのかもしれません。月明りでさえ障りになると言いますから、天の川の光は本当に、淡くひそやかであるのです。

天の川の名前は、円盤状の星の大集団である銀河系の中心部を、その端の方に位置する地球から眺めた時に「空を南北に縦断して流れる川のように見える」ことから名付けられました。星は1年を通じ、いつも見えている状態ではあるのですが、日本では夏のこの時期に丁度、最も星雲が密集している銀河系の中心方面を向くので、天の川がより濃く見えるということなのです。

さて、天の川が鮮やかに天空を彩るこの季節には、全国各地で七夕祭りが行われます。七夕祭りは元々、中国の宮中行事であったと言われていて、針仕事などの上達を願うものだったようです。これが日本に伝わり、日本の神事「棚機(たなばた)」や「織姫と彦星の伝説」と合わさり、広まったと考えられています。江戸時代には、お盆の前行事として神事とも関連付けられた祀り(まつり)であったようですが、現代では形だけを残して、一般的には笹に願い事を書いた短冊を飾るというだけの、私たちに馴染みのある年中行事になっております。

そういえば、青森の「ねぷた祭り」や秋田の「竿燈(かんとう)祭り」も、七夕に起源を持つ行事で、農作業中に襲ってくる睡魔=穢れを祓って流す、「眠り流し」の神事であったという説があるようです。この説は民俗学者の柳田國男(やなぎた くにお)が最初に唱えましたが、「ねぷた」の起源については地元の人々との間で解釈の相違があった様子です。七夕祭りは昔からの慣習で、毎年7月7日に行われていますが、これは現在の新暦でいえば随分先、例えば2023年なら、8月22日にあたるそうです。俳句の世界でも「七夕」は秋の季語になっておりました。

「梅雨の真っ盛りに天の川が見えるものなのか?」と思っていたら、本来は8月後半の行事だったわけですね。