体を動かすことが疲労回復に繋がる

 みなさんは休日をどのように過ごしていらっしゃいますでしょうか。休日くらいはゆっくりしたいと、1日中寝て過ごす方もいらっしゃるかもしれません。実はそれが疲労回復には逆効果、という研究結果が出ているそうです。

 「座位行動研究の第一人者」と言われるオーストラリアのネヴィル・オーウェン博士によれば、そもそも人間の体は「動くことに適している」と言います。立って歩くよりも座っている方が体への負担が少ないように思えるかもしれませんが、座ってばかりいると筋肉が固まって血流や代謝が悪くなり、狭心症や、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの発病リスクが高くなります。飛行機などに長時間座ったままでいると、エコノミークラス症候群になると言われるのも血流の悪化が要因です。

 また、人間の脳も「体を動かすこと」を基本目的に働いているそうです。そのため、何時間も座りっぱなしでいると、かえって疲れてしまい、記憶力の低下や注意散漫などの弊害が出てしまうと言います。

 他にも、人間の体は完全な左右対称ではない為、動いていないと体の一部に負荷がかかるそうです。例えば、手足の形や長さ、筋肉の付き方も、左右で微妙な差があります。体の内部では、大小様々な臓器が非対称に配置されています。大きさ、重さの違う内臓が体内で偏っているため、ただ立っているだけ、座っているだけでも、左右で大きさの違う力が働き、何もしていなくても疲れを感じるようです。

 では、止まっていると疲れてしまう体をどのようにケアすれば良いのでしょうか。それは適度に動かしてほぐすしかありません。体の一部だけに過剰な負荷がかからないように動かすことでバランスを取るのです。スポーツ医学の世界でも、動いて回復を図る、という考え方があります。スポーツ選手がケガをした時、ケガの種類や程度にもよりますが、適度に動かす方が回復は早くなるということが実証されています。動かずにいると筋肉が固まってしまうので、少しずつ動かしながら治癒を待ちます。これを「動的回復」と言います。

 私たちの日常生活においても、休日にあまり動かないでいると、かえって疲労を溜めてしまうことがあります。散歩やストレッチなどで「動的回復」を試してみてはいかがでしょうか。