日本人の“寝不足”事情
日本は、世界でもまれに見る『寝不足大国』だそうです。例えばアメリカの平均睡眠時間は7時間19分、フランスは7時間29分、イギリスは7時間33分で、主な経済大国ではほとんどが7時間以上になっています。
一方、日本の睡眠時間の平均は6時間18分で、調査の対象になった50以上の国と地域の中で最下位でした。日本人は仕事や勉強、趣味や娯楽に時間を割くことが多いようです。そのため、どんどん忙しくなり睡眠時間が減ってしまいます。本当は、先に必要な睡眠時間を確保してから、活動の時間割を決めるべきかもしれません。
また、きちんと睡眠をとっていても、昼間に眠気が襲う人は、時差ボケかもしれません。海外旅行などで時差の大きい地域を行き来した時に、体内で刻む時間と、滞在地の時間がずれて体調不良を起こす事を「ジェットラグ(時差ボケ)」と言いますが、旅行しなくても、寝る時間が日により異なったりすると、似た状態になる場合があります。
眠った時間と目が覚めた時間の真ん中の時刻を「睡眠中央時刻」と言い、これが毎日一定の時刻でないと、体内時計が狂ってしまうのです。これを「ソーシャル・ジェットラグ」(社会的時差ボケ)といいます。私たちの体は繊細なので「規則正しい生活を」と昔から言われるのは、体内時計を狂わせないためだったのですね。
睡眠が健康に大切なことは分かりますが、問題は睡眠の「質」です。昨年秋に発表された研究結果で、睡眠の質を測る新たな指標として「睡眠休養感」というものが示されました。これは、起床時に「すっきりした」と感じるかを本人の主観で5段階評価するもので、これと睡眠時間のデータを掛け合わせ、死亡リスクの高さを算出しています。現役世代では、睡眠時間が短く、「すっきり感」の無い人ほど死亡リスクが高いですが、65歳以上の高齢者のデータでは、8時間以上も寝ているのに、「すっきり感」が少ないという人が、最も死亡リスクが高いという結果が出ました。寝てはいるが眠ってはおらず、布団の中でぐずぐずしている状態、これが一番健康によくないことだそうです。
昼と夜のメリハリを付け、昼間はしっかりと活動的に過ごして、健康寿命を延ばしていきたいですね。