理想的な体温で健康維持

50年余りの間に、日本人の平均体温が0.7度ほど下がっているのをご存知でしょうか。それによって病気から体を守る免疫力の低下が懸念されています。

例えばガン細胞は、「低温」「低酸素」「血液が酸性に傾く」といった環境下で、活性化しやすいと言われます。体温が低く、血行が悪い状態が続くと、白血球の働きも悪くなってしまいます。白血球の一種、ナチュラル・キラー細胞は、血液に乗って全身を巡り、がん細胞やウイルスなどを攻撃してせん滅する役割を持っています。しかし、血行が悪くなると、キラー細胞が減って動きが悪くなり、がん細胞が増加しやすくなります。

また、血行が悪いと、正常な細胞に十分な酸素が行き渡りにくくなります。がん細胞は酸素が嫌いで、酸素がたくさんあれば、あまり悪さ出来ませんが、血行が悪ければ、正常な細胞に十分な酸素が行き渡らず、がん細胞が正常な細胞を侵食してしまいます。このように低体温は、ガンの発生をはじめ、他にも風邪など様々な病気に対する抵抗力を失う原因となります。

「理想的な体温」というのは、諸説ありますが、36.5度前後と言われています。現代の人々の体温が下がっている原因の一つには、慢性的な運動不足が挙げられます。体の熱の約4割は、筋肉を動かすことで発生する為、軽い運動を日常の習慣として行うのは、若い方にも高齢の方にも必要だと思います。

それから、過度な減塩も体温調整機能を狂わせてしまいます。塩分は、体の水分バランスを調整したり、筋肉の収縮に必要なナトリウムイオンを供給したりする為に必要な栄養素です。厚生労働省の1日当たりの塩分摂取量の目安(2020年版)は、男性は7.5g未満、女性は6.5g未満となっています。過度な減塩は良くありませんが、塩分の摂りすぎも、高血圧の原因になるので、適量を摂取するよう注意しましょう。

本来の理想的な体温に上げていけば、ダイエットしなくても体重を自然に落とすことが出来ると言います。体温が上がると代謝機能も上がるので、汗もかくようになり、体脂肪も燃焼しやすくなります。

適度な運動と食生活を心がけて、ウイルスにも負けない、元気な身体でいられるようにしたいですね。