生前贈与は10年計画
「生前贈与の非課税枠が年間110万円まで」というのは、皆様もご存じのことかと思います。既にこの制度を利用して、財産を贈与し、課税額を抑えている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
注意すべきは、「贈与から3年を待たずに贈り主が亡くなってしまうと、その分も相続税の計算に加算されてしまう」という点です。さらには今年の税制改正により、2024年1月以降の贈与については「7年後まで相続財産に加算される対象になる」とのこと。こうした流れを踏まえると、長期的な視点を持って家族への贈与を進める必要がありますね。
生前贈与の方法はいくつかありますが、ここでは例を3つご紹介いたします。
①暦年贈与(れきねんぞうよ)
1人につき年間110万円までは財産を贈与しても税金がかからない仕組みを利用し、毎年少しずつ財産を贈与していく方法です(ただし、税務署から「高額贈与を分割して行っているだけ」とみなされ、課税される場合があるため、渡す時期や方法を毎回変えて行う方が安全という話も聞きます)。
②子供や孫名義の口座にまとまった金額を入れる
注意点は、「口座の管理を必ず本人にしてもらう」ということです。口座の存在を本人が知らなかったり、通帳や印鑑が贈り主の手元に残っていたりすると、相続時に課税対象にされてしまいます。
③30才未満の子・孫・ひ孫の「教育資金」として一括贈与する
最大で1,500万円が非課税となる、2026年3月までの期間限定の制度です。利用するためには取扱金融機関と契約して、対象となる教育目的で金銭が使われたことを証明する必要があります。また、贈与を受けた人が30歳を超えると、その時点で残っている金額には課税されるので注意が必要です。
財産をどのようにするのかは、後を引き継ぐ子供たち、孫たちを守るためにも、きちんと整理して決めておく必要があります。今から少しずつ子供たちに分けていくなどして、課税額を出来るだけ抑えて、大切な財産を守っていきたいですね。
「まだ早い」ではなく、10年計画を立てるつもりで、考えてみるのはいかがでしょうか。