空き家問題、極まれり

処理に困って放置されている空き家が、この20年で2倍に増えていると最近の統計で出ています。その半分以上が、親が亡くなって相続したものの、子世代はすでに別の土地で生計を立てており、住む予定もなく、かと言って簡単に売ることもできずにそのままになっている家のようです。

「親の住んでいた家」が厄介だと思う人も多いようで、まず大量の物を片付ける必要がありますし、大事な書類やへそくりなど、親がいるうちに聞かなければどこに何があるかもわかりません。家が空になったら今度は貸すなり売るなりしなければなりません。マンションならともかく一戸建ての場合は、さらに難しくなるケースもあるようです。一戸建て住宅を売却する時、古い家屋は価値がつかず、土地には値段が付くわけですが、地方都市や交通の不便な田舎になると、買い手を見つけるのは困難なのかもしれません。

もう一つ、よくある話が「接道義務」という問題で、これは都会でも起こり得ます。「接道義務」とは建築基準法で定められたルールで、建築物を建てる敷地は、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないというものです。これは消防活動などを円滑に行うための法律だそうですが、当然のことながら、この法律が出来る以前に建てられた古い家では この基準を満たしていないこともあり、その場合、その家を取り壊したら次にその土地に新しい家を建てることは出来なくなります。これを「再建築不可」といいます。そんな土地はまともに売れません。

空き家になった実家に住む予定が無く、家の中を片づけるのも大変、売るのも大変、更地にすれば税金が高くなり、解体費用も馬鹿にならない。それでつい放置してしまうのも分かりますが、人の目が行き届いていない空き家は、害虫が湧いたり犯罪の拠点になったり、古くなれば 倒壊の危険性もあります。

多くの空き家を抱える自治体では、所有者に対して、解体するなどの対処を求めていますが、連絡が取れなかったり、そもそも相続手続きがされていなくて所有者が誰なのか分からないこともあるようで、止む無く自治体が解体費用を負担するケースもあるようです。思い出のある家を空き家にしてしまわないように大切に管理していきたいですね。