エネルギー生成を助けるクエン酸の効果
クエン酸は、柑橘類、梅干し、パイナップルなどに含まれる酸味のある弱酸性の成分です。その効果として抗酸化作用による美肌効果、血液をサラサラにして血行を良くする血流改善効果、胃もたれなどの消化不良を改善する消化の促進などがあります。
さらに、クエン酸には疲労を回復させる効果もあります。市販の飲料水でもクエン酸の文字と一緒に疲労回復と大きく記載された商品があります。クエン酸には疲労時に蓄積される疲れの原因物質である乳酸を分解する作用があり、また、クエン酸回路と呼ばれるエネルギー代謝の流れにおいて重要な役割を果たしています。
高校の生物科目を履修した方は、クエン酸回路について授業で習っているかと思いますが、このプロセスによって食事から摂取した糖分や脂質がエネルギーとなり、疲労感が軽減されます。
クエン酸のさまざまな用途
クエン酸は、食品の色や風味を保つための食品添加物として使用される他、お掃除用品にも活用されており、金属イオンと結合するキレート剤としても重要な役割を果たします。過剰な金属イオンは水の硬度を引き上げ、洗浄能力を低下させ、肌や衣類に悪影響を及ぼすとされていますが、クエン酸は金属イオンと結合することで、こうした金属の腐敗からも守ってくれます。
さらに、弱酸性のクエン酸は、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムが結合して作られるアルカリ性の水垢などの汚れを落とすのにも最適です。このように、クエン酸は食品、医薬品、化粧品、雑貨など、さまざまな分野で使われています。
クエン酸による抗炎症作用
クエン酸がどのようにして身体が受ける酸化ストレスや、炎症反応を軽減しているのかを研究したマウス実験があります。ここではエンドトキシン(細菌が生み出す毒素)に侵されたマウスを対象に、クエン酸を投与する事での実験が行われました。
エンドトキシンとは、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌といったグラム陰性菌から生み出される毒素であり、その細菌の死後もより強力になって産出される毒であり、人体へも感染症や炎症などの問題を引き起こします。その為、エンドトキシンに侵されると、脳や肝臓に酸化ストレスが引き起こされ、細胞に損傷を与える脂質過酸化反応が生じます。
エンドトキシンの毒素に侵されたマウスにクエン酸を投与したところ、エンドトキシンによる酸化ストレスと脂質過酸化反応が軽減されている事が分かりました。また、エンドトキシンによって受ける肝臓の損傷やDNAの断片化といった問題も抑制されている事が示されました。
これらの結果は、クエン酸がエンドトキシンによって引き起こされる酸化ストレスによるダメージや炎症反応を抑制出来る可能性を示しています。ただし、クエン酸の過剰摂取は逆効果となる結果も示されましたので、その点を注意する必要もあるようです。
クエン酸の副作用
クエン酸は一般的に安全な成分であり、重篤な副作用は報告されていません。実際、クエン酸は自然界にも存在しており、多くの食品や飲料水に含まれています。
しかし、クエン酸アレルギーや、クエン酸を大量に摂取する事での、下痢、腹痛、胃腸の不快感といった副作用は考えられます。また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルと結合する性質があるため、クエン酸の過剰摂取によりミネラル不足になる可能性もあります。
他にも、過剰摂取による染色体異常の誘発や、細胞毒性を引き起こす可能性が示された論文もありますので注意しましょう。
広い意味では安全な食品添加物であり、良い効果をもたらすクエン酸ですが、個人の状態や摂取量によっては副作用が生じる可能がある為、十分に注意して下さい。
(参考: 美容・健康コラム 教えて!慎太郎先生)