宝くじの歴史

 宝くじの当せん確率をご存知でしょうか。2024年の年末ジャンボ宝くじ1等の場合、2,000万分の1だそうです。現在の日本の総人口が1億2,300万人余りですから、全員が1枚ずつ購入したとして、その中の6人が当せんする計算になります。

 宝くじの還元率は約46%で、パチンコ・パチスロの約85%、競馬の約74%と比べても還元率が低いことがわかります。それでもジャンボ宝くじが発売されると、売場には長蛇の列ができ、名古屋の人気の売場には他県から買いに来る方もいらっしゃるとか。

 宝くじは投資ではありませんから、お金儲けをしようと考えて買う方は少ないでしょう。実際、宝くじの収益金の多くは地方自治体へ納められています。宝くじの収益金は46.7%が当せん金として当せん者に支払われ、15.3%は宝くじの印刷経費や手数料、1.3%は社会貢献広報費として使われ、36.7%が全国都道府県及び20指定都市へ納められ、公共事業等に使用されます。つまり、宝くじの購入金額の38%程は、公益のために寄付をしているようなものなのです。

 なぜこのような「くじ」が発売されるようになったのでしょうか。日本の宝くじの歴史はとても長く、江戸時代の初め頃、箕面山瀧安寺で初詣に来た人の中から、くじで当たった人にお守りを授けたのが起源とされています。それが後に、くじを買った人にお金が当たる「富くじ」と言われるものに発展し、町中で売られるようになっていきました。ところが富くじが町にはんらんしたため、徳川幕府が元禄5年に寺社(お寺や神社のこと)を除き一般の富くじの販売を禁止しました。その後、天保13年に、天保の改革において幕府は寺社に対しても富くじの販売を禁止し、100年ほど富くじが発売されない時代があったようです。時が経ち、終戦直前の昭和20年には政府が軍事費調達のために富くじを勝札という名前で販売しました。終戦後には、戦災によって荒廃した地方自治体の復興資金調達を図るため、各都道府県が独自でくじを販売できることとなり、これが現在の宝くじの元となったそうです。

 現在の宝くじの収益金の一部は、高齢化少子化対策、防災対策、公共施設の改修などに使われ、私たちの身近なところで役立っています。宝くじの購入は夢を買えるだけでなく、社会貢献にもなるようですね。