日本の朝食が値上がりしている⁉

ものやサービスの値段が上がるインフレが、日々の生活に影響を及ぼしています。例えば、パンやベーコン、卵といった代表的な食材から朝食の値段を計算したところ、新型コロナウイルス流行前に比べて約15%上昇しており、生活費を押し上げる要因となっています。 注意が必要なのは、物価高の影響度合いは生活スタイルなどによって大きく変わる点です。「輸入食品は世界的なインフレの影響を受けやすい」といい、パンやコーヒー豆の値段が 1~4割上昇した一方、米や梅干しといった国産の定番食材はほぼ変わっていません。洋食派よりも和食派の方がインフレに強いのが分かります。

家計のインフレ耐性を高めるには、やみくもに節約するよりも、こうした特徴を押さえながら、メリハリをつけて支出を見直す方が効果的です。まずは、自分の普段の暮らしがどれくらいインフレの影響を受けているかを把握することが欠かせません。家賃や通信費などの固定費を抑えて支出そのものを減らす手もありますが、インフレ抑制という点では価格が変わりやすい日々の支出を見直すのも大切です。外食を減らせば、家計のインフレ率は下がります。

新型コロナウイルス流行前と比べた家計のインフレ率を見ると、20代以下は約3%なのに対し、60代以上のシニア世帯は5%以上でした。シニア世帯は、家計の支出に占める生活必需品の割合が大きくなります。娯楽などの、選択的な支出と呼ばれる品目よりも、食品などの必需品の方が大きく値上がりしている為、貯金を少しずつ使って生活するシニアや日々のやりくりに苦労する世帯の家計を圧迫しています。しかし、やみくもに財布の紐を固くするだけでは節約疲れに陥りかねません。

日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)が共同で、家計ごとのインフレ率を計算するツールを作成して、日経電子版のサイトで公開しています。光熱費や食費など、家計の支出を項目ごとに入力するとインフレ率を自動で計算してくれます。現状把握をするのに、試してみても良いかもしれません。

コロナで控えていた買い物や旅行に出かけるのを心待ちにしていた人も多いかと思います。まずは、家計のどこがインフレの影響を受けているのかを知り、物価高をうまく乗り切るポイントを探しながら、ポストコロナの日常を楽しみたいですね。