為替介入、円安への効果は?

歴史的な円安進行に歯止めをかけるため、政府・日銀が大規模な円買いドル売りの為替介入を実施したと考えられます。為替介入はその効果を高めるために秘密裏で行われることが多く、実態をつかむのは難しいようです。為替相場の安定は、経済および金融の健全な運営において重要な要素となります。
為替相場の仕組み
為替相場は、投資家や輸出入企業などが市場で売買活動をすることにより形成されます。円を売る人が多いと円安(外国通貨に対して日本円の価値が低い状態)が進み、円を買う人が多いと円高(外国通貨に対して日本円の価値が高い状態)が進行します。このバランスがどちらかに偏ると、為替相場は急激に動き、経済や金融が不安定になります。そこで、過度な変動を抑制するために政府が介入することが必要になります。
日本で為替介入を行う権限を持つのは財務省であり、実際の取引は日本銀行(日銀)が担当します。円買い介入の場合では、財務省の指示に基づき日銀が市場で円を買い、ドルを売るという形で実施されます。このように、財務省と日銀が分業体制を取っています。
介入の必要性と公平性
為替相場は国や地域の経済情勢に大きく影響が出るため、一国が自国の利益のために為替介入を行うと、公平性が損なわれるリスクがあります。過去には、各国が競って介入を行い「通貨戦争」が勃発した例もあります。そのため、介入には国際的な制限が設けられています。
介入の制限
現在、為替介入には主要7カ国(G7)が2017年に合意した声明に基づく厳しい制限があります。この声明では「過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与える」と明記されており、今回の円買い介入も、円相場の急激な変動を抑えるために実施されたと考えられ ます。
為替相場の安定は、経済および金融の健全な運営においては大変重要となります。政府の介入は、過度な相場変動を抑制し、経済の安定を維持するための手段です。ただし、介入には国際的なルールがあり、日本単独の介入では限界があることも事実です。今後は、国内経済の強化とともに、国際協調による効果的な介入が求められるでしょう。