長期金利が上昇すると日本国債への影響は?
「長期金利が上昇すれば、格下げが心配」2024年7月2日、神田財務官は自身の私的懇談会での議論をまとめた報告書を公表し、日本国債の格付けに関する見解を示しました。「今後、長期金利が上昇すれば、日本国債の格付けに影響を与える可能性がある」と指摘し、財政強化の必要性を訴えました。
過去に財政危機に直面した国を例に挙げ「一旦格下げが始まるとその動きは非常に速い」と指摘し、その場合はさらなる経済的困難を招く可能性が高まると語りました。
報告書では、日本国債は「直ちに格下げが生じる状況にはないと思われる」としていますが、その一方で万が一に備え、財政の強靭化が必要と訴えました。赤字基調の貿易収支など日本経済が抱える課題に対する処方箋として、生産性の向上、人的資本への投資、国内投資の促進、財政健全化の四つの柱を指摘しました。日本が化石燃料依存から脱却するための技術活用では、「再エネの拡大や安全確保を大前提にした原発の再稼働を進めることが喫緊の課題」としました。
【為替相場と円安傾向】
神田財務官は、現在の為替相場における円安傾向についても言及し、為替相場では円安傾向が続いていますが、今回の議論は為替とは切り離したもの。とした上で、足元の動きは「投機で動いている部分が大きい」との認識を示しました。
【日銀と政府の関係】
日銀が利上げを行わない理由の一つとして、長期金利の上昇による日本国債の格下げリスクが挙げられますが、このリスクを政府から指摘されることにより、日銀は国債買いオペを減額することが更に難しくなります。仮に日銀が国債の買いオペを減額したことにより、格下げが現実となった場合は日銀の責任が問われるでしょう。
【格下げの影響】
過去に行われた格下げでは大きな影響がなかったものの、現状況での日本国債の格下げは、日本経済に深刻な影響をもたらす可能性が大きくなります。日本国債が格下げになった場合、企業や邦銀はドル調達が困難になり、円建て債券の発行も難しくなります。株価も下落し、日本国債の買い手が日本人に限られることで金利が急騰し、日本円の危機に直面することが予想されます。
経済の動向を見据えて、将来に備え、安全な場所に資産を確保することが大切ですね。