目の使いすぎにはご注意
目で、ものを見る仕組みは、大まかに言えばカメラと同じです。
角膜(フィルター)と水晶体(レンズ)で目に取り込んだ光を調節し、ピントを合わせ、
網膜(フィルム)の上に像を結びます。
遠くのものを見る時には水晶体が薄くなり、近くを見る時には厚くなります。
言い換えればレンズの厚みで屈折率を変えて、きちんと網膜の上に焦点を結ぶように
合わせているわけです。
ところが、その屈折が強すぎて、網膜より手前に焦点を結んでしまう場合があります。
これがいわゆる近視、正確には「屈折性近視」と言います。
逆に、網膜より奥に焦点を結んでしまうのが遠視です。
水晶体は加齢により固くなると、厚くするのが難しくなって手元が見えにくくなりますが、
これは「老眼」です。
近視の種類にはもうひとつ、「軸性近視」というものがあります。
「眼軸」が長すぎる、つまり角膜から網膜までの距離が遠すぎて、焦点が網膜に届かない
という状態です。
これは、遺伝性、先天性の場合に多いケースだそうですが、通常ならピンポン玉のような
球形であるはずの眼球が、ラグビーボールのような形に変形してしまうことで起きます。
眼球が楕円形に変形するということは、網膜が引き伸ばされて薄くなるということで、
網膜剥離を起こしやすくなり、視神経にも障りが出て、最悪の場合は失明してしまいます。
しかも、一度伸び切ってしまった眼軸は、決して元には戻せないというのですから怖いです。
この眼軸の伸びは、大人になると止まるものだそうですが、最近では歳を取るにつれて
再び伸び始めて、眼球の「ラグビーボール化」が起こるケースが急増していると、
眼科の専門医が警鐘を鳴らしています。
原因はビジネスシーンで不可欠となったパソコンと、スマホなどの携帯端末の普及です。
長時間、パソコンやスマホにかじり付いて、手元ばかりを見ていると、
次に遠くへ目を移した時に、とっさに焦点が合わなくなります。
軽度であれば、しばらくして元に戻りますが、これが続くと水晶体が疲れてしまい、
厚みを変えて焦点を網膜上に合わせることが出来なくなってくるのです。
近くを見るためのピント調整は目に負担が掛かっていて、さらに近くばかりを見ていると
力尽きて、焦点は網膜の後ろに下がってしまいます。
私たちの目は、それでもなお焦点を在るべき位置に引き戻そうと頑張るので、その結果、
先程の焦点が網膜に届かない場合とは逆に、焦点が下がった奥まで網膜が追いかけて伸びてしまい
眼球が変形してしまうのです。
昨今は小・中学生でもスマホ依存が問題になっていて、本来ならまだまだ球形に近いはずの
子どもたちの目にも、早すぎる異変が起き始めているそうです。
美しい自然の景色を眺めたり、目を閉じて瞑想などをして目を労わり、スマホを置く生活をし、
スマホと上手に付き合いたいと思います。