ハイパーインフレとは何か?

 ハイパーインフレとは、急激で制御不能な、極端なインフレのことです。一般に、月次のインフレ率が50%を超える物価上昇と定義されております。

世界の経済史上に残る悲劇が、ドイツのハイパーインフレでした。第一次世界大戦後の巨額の賠償金支払いなどで財政赤字の拡大に直面した政府は、支出を賄うためにひたすら紙幣を印刷しました。その結果、1920年に3.9マルクだったタマゴ10個の値段が3年後の1923年には3兆マルクになり、パンを買うのに一輪車いっぱいの紙幣が必要だったと伝えられています。 1920年代、ドイツの株式相場はハイパーインフレで大きく上昇しました。米紙ニューヨーク・タイムズによると、当時株売買の中心だったベルリン証券取引所で、主要銘柄は「大幅な上昇」で1920年の取引を終えました。これは「途方もないインフレとドイツ紙幣の大幅な減価」によるものだといいます。独紙フランクフルター・ツァイトゥングの計算によると、主要25銘柄の合計価値は、1919年9月には5425でしたが、1920年12月末には1万5362に達していたとのことです。

 理論上、ハイパーインフレ時に株価が上昇するのは、企業が物価上昇分を消費者に転嫁し、利益率が維持される可能性があるからだそうです。ただし、株価の上昇がつねにインフレ率を上回るとは限りません。ドイツでは1922年になると、株価は物価の上昇に追いつけませんでした。

 また、配当を重視する投資家にとって、ハイパーインフレはきわめて不利になるといわれています。異常な物価上昇に配当利回りが追いつくとは考えにくいからです。ドイツではハイパーインフレの進行とともに配当利回りが急落しました。「物価は数日ごとに2倍になり、年間配当はおろか四半期配当も追いつくことはほとんど不可能だったろう」とキャピタル・ドット・コムの記事は述べています。

 ハイパーインフレに襲われたとき、個人は家計を直撃されるだけではなく、財産の安全も脅かされると思われます。もし本当にハイパーインフレが起こり、物価が数週間ごとに2倍にでもなれば、預金金利の引き上げでは追いつかないことでしょう。

 万が一ハイパーインフレに襲われた場合に備え、財産を守る手段を考えておく必要がありそうですね。