環境にやさしい無添加石けん

福岡県宗像市の離島・地島で、生活で使う洗剤を合成洗剤から無添加石けんに切り替える実験が行われました。数か月後、島の下水道処理場から放流される水に含まれる汚れが減り、水質が改善されるという結果が得られたそうです。今回は肌と環境にやさしい無添加石けんについて紹介いたします。まず始めに、合成洗剤や無添加石けんがどういったものなのかについて解説していきます。

合成洗剤とは、簡単に説明すると洗浄成分に合成界面活性剤を使っている洗剤のことです。石油などを原料に人工的に作られた物質で、肌に負担がかかりやすいと言われています。

対して香料や着色料、保存料といった添加物を一切含まない石けんを無添加石けんといいます。肌に影響を与える物質を含まないため、肌に優しく、敏感肌やアトピーの人や皮膚の薄い小さなお子様にもおすすめです。

また、合成洗剤や無添加石けんは環境に与える影響も異なっています。

水の汚れは、かつては工場などからの産業排水が主原因でした。しかし今日では排水処理対策の規制が強化され、台所や風呂・トイレなど日常生活の営みから出される生活排水が大きな原因となっています。

無添加石けんは環境にやさしいのが特徴です。使用後、排水として流れた石けんは、短時間で水と二酸化炭素に分解されます。その後石けんカスはカルシウムやマグネシウムなど水の中に含まれているミネラル分と結び付き、海や川にいる微生物のエサになり、生態系のサイクルを守るため、環境を汚すことはありません。

しかし石油を原料としてできている合成洗剤は、一か月近く分解されません。それどころか水を浄化する働きをもつバクテリアなどの微生物を弱らせたり殺したりしてしまいます。その結果、本来自然が持っている水の浄化作用が弱まり、海や川の汚染は進んでしまうのです。

地球の環境問題に、人間の生活が関わっていることが実証され、世界的に対策が講じられています。私たちの身近な暮らしの中で環境のためにできることにはどのようなものがあるか、一度しっかり考えてみてはいかがでしょうか。

それは「小さなこと」のように感じるかもしれません。しかしその取り組みを一人ひとりが意識し、行うことで世界中では「大きなこと」に変わっていきます。