陰徳あれば陽報あり
「陰徳あれば陽報あり」は、人に知られず善行(陰徳)を積んだ者には、必ず表に現れたよい報い(陽報)が訪れることを意味することわざです。
例えば、誰にも知られないように職場のトイレの掃除をする、部活動をしている人が朝早くに誰もいない体育館に出て床を掃除する、道に散らばっているゴミを拾うといったことは陰徳です。誰かが困っている時、(こっそりと)その状態を解消してあげることも陰徳です。
このように隠れて善行を続けることを「陰徳を積む」といいます。抹香臭くて苦手に感じる方もいるかもしれませんが、上昇気流に乗る・強運を手に入れるといった類の事を身近にできる簡単な方法のひとつが陰徳を積むことだと考えられています。
ビジネスの世界でも陰徳を大切にする方は多く、サントリーの創業者、鳥井信治郎氏は陰徳の精神のもと、誰でも利用できる無料の診療所を開設したり、老人ホームや保育園を開設したりと、熱心に社会福祉活動に取り組んでいたそうです。
サッポロビールの前社長、高島英也氏も毎朝欠かさずにゴミ拾いをしていることで有名でした。成功者に共通する精神性なのかもしれません。
陰徳を積むうえで大切なのは、密かに善行を行い、あくまでも人に見返りを求めないこと、陽報を期待しないということです。
職場のトイレ掃除であれば「職場の人のために気持ちの良い環境を整えてあげたい」、道のゴミ拾いであれば「綺麗な道を通ってほしい」など、自分の利益や名声を求めずに善いことを行うという点に陰徳の本質があるといえるでしょう。
陰徳は、報酬や評価では得られない深い喜びや充実感をもたらします。また、見返りを求めない無償の善意にもとづいているため、関わる人たちに安心を与えます。それだけでなく、自分が苦労をして得た結果を、人や社会のために与えようとする考え方、その生き方は、周囲にも伝わり、人間関係に調和や連帯感を育むことにも繋がるのです。
もちろん「情けは人の為ならず」という考え方も良いことではありますが、スタンドプレーの様でどうも気恥ずかしいという方は、陰徳を積むというやり方が周りの目を気にせず自然体で行うことができてよいかもしれません。
自分のできること、役立てることは何か。考えてみてはいかがでしょうか。