世界地図の図法

 球体である地球を平面の地図に表す時、距離や面積比、方位、角度、形などをすべて正確に表すことはできません。地図を使う目的に合わせて、色々な図法が考えられています。
中でも主な図法は「メルカトル図法」「モルワイデ図法」「正距(せいきょ)方位図法」の3つがあります。今回は世界地図の図法を紹介いたします。

【メルカトル図法】
 メルカトル図法は、経線と緯線が直角に交わるように描かれている、「角度」を正確に表した図法です。主に航海図に利用されるもので、出発地点と目的地点に直線を引き、その直線と経線の角度を測り、方位磁石を見ながら常にその角度に進めば、目的地に到着できます。
この図法は面積比や方位が正確ではない為、地図上の直線も実際は最短距離ではありませんが、角度が正しくわかることで船の舵取りが簡単になる為、羅針盤が発明された頃から広く利用されてきました。
私たちが普段よく目にする地図はこの図法で描かれたものです。ごく狭い範囲(愛知県のみなど)を表示する場合であれば、球面のカーブがあまり問題にならず、ほぼ正確に表すことができます。

【モルワイデ図法】
 モルワイデ図法は「面積比」が正しく表される図法です。地球を楕円形にして、北極と南極に近い地方の形の歪みを少なくしたものです。
この図法は地球全体を1枚の平面に表現できる特徴があり、主に人口や生物の分布図として利用されます。

【正距方位図法】
 正距方位図法は、地図の中心点からの距離と方位が正しい図法です。地球全体を真円で表した地図で、一般的にはあまり目にすることはありません。
主に飛行機の航路を考える為の航空図で使用されます。円形の表示になる為、円の中心から離れた場所ほど面積比や角度が引き延ばされ歪んでしまう特徴があります。

様々な図法で歪みを無くす工夫がされている世界地図の図法ですが、どの方法もメリット、デメリットがあるため、目的に合わせて使うと良いでしょう。昨今では、オーサグラフという各地域を比較的歪みの少ない形と正しい面積比で表すことのできる図法も考案されたようです。古今東西の専門家たちが考え出した世界地図を、秋の夜長に見比べてみるのも面白いかもしれませんね。