生活習慣病は生活習慣を見直して治す
生活習慣病は、病気というより「老化現象」である、と話しているのは、慈恵医大晴海トリトンクリニックの横山啓太郎医師です。生活習慣病は、全身の老化による不具合が原因で起きるため、薬で抑え込んでも効果はなく、原因となっている体の不具合を整える必要があるとしています。
生活習慣病の患者さんの体は、長年、体に負担をかける生活習慣によって老化が進行しています。高血圧なら過剰な塩分摂取、暴飲暴食、運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、喫煙などが体に負担をかける生活習慣にあたるでしょう。老化は体の一部分だけで起こったりはしません。全身にひとしく起こるものです。そのため、高血圧が目立つからといって、血圧だけを薬で下げても本質的な解決になりません。なぜなら、表に出ている症状がないだけで、全身の老化は進んでいると考えられるからです。認知症や寝たきりは老化の最終形として起こるものです。いまのところ、認知症や寝たきりを薬で防ぐことはできません。それと同様に、生活習慣病という名の老化に対しても、薬は根本的な治療とはなり得ないのです。体の老化を加速させている根本原因、つまり「生活習慣」にアプローチしなければならないのです。
横山医師のクリニックでは、「ライフデザインドック」という新たな人間ドックを立ち上げ、薬に頼るのではなく「生活習慣を見直す」ことによって生活習慣病を克服しようという試みをしています。そのコンセプトはかなりユニークで、患者に対して一方的に食事制限や運動を押し付けるのではなく、本人から詳細な聞き取りを行った上で、その人の性格や生活スタイルを尊重し、個々に合った対策を考え、患者が無理なく喜んで取り組めるようにオーダーメイドの健康管理術を授けるというものです。
さらに、同クリニックでは「行動変容外来」を設けており、これは患者の性格やライフスタイルに沿ってカスタマイズされた運動などの対策により健康寿命を伸ばし「健康を生活財産」として、人生百年時代を乗り切るための外来です。この行動変容外来とライフデザインドックが連動することにより、従来の人間ドックの役割に加えて、次に人間ドックを受けるまでに「行動を変えたくなる」役割を担うそうです。
体は大切な財産です。普段、運動不足と感じている方は、生活習慣を見直してみると良いかもしれませんね。