温暖化で桜が咲かなくなる…?
近頃は厳しい寒さを感じる日も減り、少しずつ春の訪れを感じられる時期になってきました。少し前までは、桜吹雪に花筏(はないかだ)は入学式で見られる光景であったと思いますが最近は桜が咲くのが早すぎて卒業式の頃にすでに満開、4月初旬にはほとんど散り、葉桜に変わっているということが増えてきたように思います。開花時期が変わってしまったのは地球温暖化の影響が大きいと言われますが、それに加えて名古屋ではヒートアイランド現象が重なり、さらに気温が高くなることによって、桜の開花を早めているようです。
桜が順調に開花するには色々な条件が必要になります。春に花が散った後、暑い夏の間に翌春の花の芽が作られます。秋になり涼風が吹き始め葉が落ちると、花の芽は一旦「休眠」に入り成長が止まり、1~2月頃に真冬の厳しい寒さに晒されることによって目を覚まし、春に向けて開花の準備を始めます。これを「休眠打破」と言います。3月の気温上昇に合わせて花の芽は成長していき、そして満を持してつぼみがほころぶのです。このように桜は気温の変化で季節の移ろいを感じ取り、1年間のサイクルを生きています。
つまり、冬にある一定の期間「厳しい寒さ」という刺激を受けなければ咲くことが出来ず、暖冬が続くと逆に開花が遅れてしまう原因になるのです。今年の桜の開花はとても早く名古屋では平年より7日、去年より5日早い開花となりました。20年前の2003年3月の名古屋の気温はほとんどの日が最高気温10℃前後、それが今年は2月の終わりには寒さが緩み3月頭に初夏の陽気が漂うという状態でしたので桜もびっくりしたかと思います。このまま地球温暖化が進んで冬の寒さがいっそう甘くなると桜は秋から冬の移り変わりを感じ取ることが出来なくなり、ずっと秋だと勘違いして昏々と眠り続けてしまうことになるでしょう。
春夏秋冬、季節の変化がハッキリとしている日本の四季ですが、桜はまさにそんな日本の気候の中で生まれた樹木です。それが近年の気候変動によってリズムが狂い始めているようで関東や東海地方では開花が早まる一方、九州では逆に遅くなる傾向にあります。温暖化によって桜の開花が遅れていくのが続くと、早くて100年後には桜の花が咲かない地域が出てきたり、季節外れに狂い咲きする桜、一年中咲き続ける桜などが現れると予想されています。
春の風物詩、そして私たちの原風景である桜を未来に残すため、環境に配慮した行動を心掛けていきたいですね。