お腹の中の花畑
私たちの身体には多くの細菌が棲みついていて、それら全てを合わせると、1~2kgにもなるそうです。その内9割が腸の中に棲む腸内細菌だと言われています。
腸内には多種多様な細菌が生息しており、それらはなんと1,000種類以上、数にすると100兆個にもなります。特に小腸から大腸にかけて、様々な細菌が種類ごとにグループを形成してまとまり、腸の壁面に棲んでいるそうです。顕微鏡で腸の中を覗くと、それらはまるで植物が群生している「花畑([英] flora)」のように見えることから、『腸内フローラ』と呼ばれるようになったそうです。
腸内フローラを構成する腸内細菌には大きく3つのタイプがあります。腸内フローラのバランスは、
・体に良い働きをする善玉菌が2割
・体に悪い働きをする悪玉菌が1割
・どちらにも属さない日和見菌が7割
が理想的だと言われています。
このバランスは様々な要因で崩れてしまいます。腸内の悪玉菌が優勢になると、悪玉菌が作り出す有害物質(発がん物質や毒素など)も増えます。この有害物質は、便秘や下痢などお腹の調子を悪くするだけでなく、腸から吸収されて全身をめぐり、様々な生活習慣病や肌荒れ、肩こり、老化などにも関係すると言われています。
日和見菌は字のごとく、状況によって立場を変える風見鶏的な菌ですので、健康維持には日和見菌を悪玉菌に変えない腸内環境が必要です。
腸内環境を整えるのには、食事や生活習慣が鍵になります。善玉菌のエサとなる食品を意識して摂るとよいでしょう。オリゴ糖を含むバナナやきなこ、食物繊維豊富な根菜がおすすめです。添加物や肉類中心の食生活、過度な飲酒は悪玉菌を増加させ、腸内フローラを悪化させてしまうため、なるべく避けることが望ましいです。
運動には善玉菌を増やす効果があるそうです。少し息が上がるくらいの早足で歩いてみるなど、無理のない範囲で取り入れてみると良いでしょう。睡眠不足は腸内フローラの大敵ですから、規則正しい睡眠を心掛けるのも大切です。
暦の上では立春を過ぎました。これから様々な花が咲く春を迎え、お花見や散策には最適の季節がやってきますね。是非お腹の中の花畑『腸内フローラ』にも目を留め、心身健やかに春を楽しまれてはいかがでしょうか。