医療の進歩でがんは減った?
かつて、がんは“死の病”と言われ非常に高い死亡率で恐れられていましたが、医療の進歩により、がんは以前ほど恐ろしい病気ではなくなったとも言われています。実際のところ どうなのでしょうか。
国立がん研究センターの調査では日本人が一生のうち、がんと診断される確率は男性で65.5%(2人に1人)女性で51.2%(2人に1人)です。さらにがんで命を落とす人は、男性で26.2%(4人に1人)、女性で17.7%(6人に1人)です。
胃がんや肝臓がんは、ここ数年減少傾向にありますが、肺がんは増加しています。他にも、男性では前立腺がん、女性では乳がんの罹患率も、ここ10年で2~3割り増えています。臓器ごとで、罹患率に大きな差があるようです。
死亡率の推移を見てみると、かつて日本人は胃がんで亡くなる人が多かったのに対し、2000年前後からは、肺がんで亡くなる人が多くなっています。喫煙率も低くなってきているのに、なぜ肺がんは増えているのでしょうか。
肺がんの大きな原因としては、女性ホルモンと大気汚染の2つが有力視されています。女性ホルモン(エストロゲン)補充療法を受けた女性などに、肺がんの罹患率が高いことが報告されています。また、アスベストや汚染された空気を肺に吸い込むと、肺がんのリスクを高めることになります。
ここまで、日本人の死亡原因の多くが、がんであると書いてきましたが、実はがんは直接の死因にはなりづらいのです。例えば、肝臓にがんが発生したとします。肝臓の機能が低下して肝炎にかかってしまい、その後亡くなると、直接の死因は肝機能障害や肝炎となります。さまざまな部位に転移した場合の死因は多臓器不全、さらに全身が衰弱した場合は、衰弱死や老衰となります。
医療の発達により、がんは以前ほど恐ろしい病気ではなくなっていますが、身体の部位ごとにみると、いまだに死亡率が増えているところもあります。最近では、インターネットで調べると、がん予防の方法がたくさん出てきますが、間違った情報もあります。結局のところは、身体に良いものを摂って、健康的な生活をするのが一番かもしれません。